T.P
いつも、いつでも手を伸ばせば届くところにいるのだと思っていた。
いるのが当たり前だった。
大事な存在だなんて考えたことがなかった。
好きとか嫌いとか、そういう感情だってなかった。
いなくなって初めて気付いた。かけがえのない存在だったこと。
代わりになるものなんて何一つなかった。
本当はとても大事な存在だった。
当たり前に存在してくれていることで、わたしの暮らしはこれまでどれだけ充実していたことだろう。
いなくなっただけでこんなにも落ち着かない気持ちになるなんて。
不在により、やっとその存在の大きさを知った。
大切さを知った。
わたしは何て愚かだったんだろう。
手の届くところにある間に気付くべきだったんだ。
今からでも遅くない。
わたしはドラッグストアに走った。
棚に穏やかに並んでいる姿はわたしをとても安心させた。
わたしはそっと手を伸ばし、心の中でつぶやいた。
今まで邪険にしていてごめんね。
これからはあなたのことをもっと大事にする。
だからお願い、もういなくなったりしないで、T.P(トイレットペーパー)
トイレットペーパー!
この前、我が家のトイレットペーパーのストックがなくなりまして。
いつもなら完全になくなる前に買い足すのですが、今回はすっかり忘れていました。
トイレットペーパーのストックがないだけでこんなにも落ち着かない気持ちになるとは。
みんな、トイレットペーパーは大事だ。
大事だよ。
1970年代、オイルショックをきっかけにトイレットペーパーの買い占めがあった。
東日本大震災の時だって、買い占めはあった。
買い占めをする人の気持ちなんて全然わからなかったけど、トイレットペーパー大事だよ。
T.Pへの愛を確かめるためにインターネットで検索をしていたら、経済産業省のページに行き着いた。
以下、経済産業書のページから引用。
トイレットペーパーの備蓄が必要な3つの理由
1.阪神・淡路大震災において、被災者が最も困ったのは食料でも衣服でもなくトイレ不足
2.東日本大震災では、被災地のみならず全国的にトイレットペーパー不足が発生
3.トイレットペーパーの約4割は静岡県で生産→東海地震等が起こると深刻な供給不足となるおそれ
引用元:経済産業省 トイレットペーパーを備蓄しましょう!
http://www.meti.go.jp/press/2015/08/20150827001/20150827001.html
日常使うトイレットペーパーとは別に、一ヶ月分程度備蓄しておきましょうという呼びかけ。
みんなが普段から備蓄を心がけていれば、非常時に買い占めが起こってパニックになることはない。
食料や水についてはローリングストックが呼びかけられて久しいけど、トイレットペーパーもそうした方がいいってことだ。
せっかくT.Pの存在の尊さに気付いたので、明日わたしは備蓄分のトイレットペーパーを買いに出かけることにします。
それにしても、一ヶ月でトイレットペーパーどれぐらい使うかしら。
トイレットペーパーに限っては、使用量に個人差があるので一人あたり何個あれば大丈夫とは言い切れないのでしょう。
だいたいでも自分にとっての適切な量を把握しておかないと、不安に駆られて、あってもあっても足りない気持ちになってしまうと思う。備蓄することは大事だけど「これだけあれば大丈夫」という根拠も必要ですね。