ツチダのエンピツ

ペンは剣より強いので

バタフライエフェクト

「言霊」という言葉を知っていますか。

わたしは祖母からこの言葉を教わりました。

 

わたしには祖母と会話した思い出はない。冒頭からいきなり他人の言葉の引用です。

中学一年生の頃、全校生徒の前で名前も知らない女生徒が読み上げた作文の書き出しでした。この書き出しは、わたしの心をぐっとつかんだ。

わたしが通っていた中学では、全学年各クラスから選ばれた生徒が壇上で作文を読み上げる行事があった。作文は全員書かされる。何でもいいから自由に書けと言われる。自由に書けというのが一番困る。わたしは何を書いたかも覚えていないけど、つまらない作文を書いた。つまらない作文を書いたので、わたしが壇上に上がることは三年間なかった。そうやって集められた作文のうち、つまらなくない作文、担任が気に入った作文を書いた生徒がクラスの代表として壇上に上がる。

言霊の作文を書いた女生徒は、二学年上だったと思う。

彼女が作文を読み上げるまで彼女の存在を知らず、読み終わったらもう名前も忘れた。作文のことは忘れなかった。ずっと忘れなかったわけじゃない。ただ、常に片隅にあった。そして小さくわたしの心を揺らし続けた。

今、わたしは言霊を信じている。だから、きれいな言葉を使いたいと思う。そして、言葉に対して特別な感情がある。もともと本が好きということもあるし他の要因もあるけれど、中学生の時に聞いたこの言葉の影響は確実にある。

 

数年前、ブログに小説みたいなものを書いていた。今はもうない。

当時それを読んでくれていた友人の一人が、先日あこがれのプロポーズについて熱く語っていたのだけれど、それがむかしブログに載せたものそのままだった。プロポーズの話は実話ではない。創作です。

 

どこで見たか聞いたかを覚えていなくても、わたしの言葉が数年経ってもひとの心に残っていることはとてもいいなと思った。それは実話と同じ価値を持つのかもしれない。小説や漫画と同等なのかもしれない。だから黙っていた。そのまま、いろんなところであこがれのプロポーズとして話しておいでと思う。そして、それがまた誰かの心に響けばいいなと思う。

 

誰かの言葉が自分の心を揺らし、それによって紡がれた言葉がまた誰かの耳に届く。そして、それがまたどこかで。 

 

というわけで、ブログ始めました。